消されゆく「ウェスペルタティア王国」

廃都オスティア。
この町を都として、「黄昏の姫御子」を司っていたとされる歴史と伝統の国、「ウェスペルタティア王国」。


しかし、よく考え直してください。
これまでに「ウェスペルタティア王国」という言葉が出てきた場所は、以下のシーンです。

  • 209時間目、フェイトの台詞。
  • 211時間目、アリアドネーでの授業シーン。
  • ラカンの各種談話。

そう、今のオスティアを語る上で、「ウェスペルタティア王国」という国名は一切出てこないのです。


そもそも今のオスティアは、かつての王都オスティアとは別の場所にあります。なので、「ネオ・オスティア」とか、かつてのオスティアと区別する地名がついていてもいいはずです。これではあと何百年かしたら、オスティアはずっとこの場所にあったように受け取られてしまいそうです。

また、こんなこともあります。

夕映アーティファクト「世界図絵」には、完全魔法無効化能力者が「片手で数えられるほどしかいない」と書かれていました。(中略)

もし完全魔法無効化能力者がイコール「黄昏の姫巫女」ならば、「世界図絵」にもきちんとそのことが載せられているはずです。少なくとも完全魔法無効化能力者は、魔法世界のとある王家の血筋のみに顕現するという記述はあってしかるべきでしょう。もしそうならば、そこからすぐに明日菜が魔法世界の亡国のお姫様であることが、ネギ・パーティのみんなにも知れ渡っているはずです。

もちろん長期連載ゆえに途中で設定が変わったという推測はできないこともありません。この時点で明日菜の正体がバレるのは明らかにまずいので、わざとぼかした設定しか「世界図絵」に与えていなかったという解釈も成り立つでしょう(その場合は黄昏の姫巫女が完全魔法無効化能力者というのは、深度Aを超える機密情報ということになる)。

JUNのBLOG the 3rd trial「フェイト・パーティにいるもう一人の神楽坂明日菜」

このアーティファクト「世界図絵」は情報の更新がなされているといいます。したがって、更新過程のどこかで「ウェスペルタティア王国の血筋に現れる」という記述が削除されてしまっている可能性もあるということです。


つまり、魔法世界は「ウェスペルタティア王国」が存在したことを歴史の彼方に消し去ろうとしているのではないでしょうか。


「世界の始まりと終わりの魔法」なるものを使えるとなれば、魔法世界の存亡に関わる問題でしょう。そんなヤバいものを一国に任せておくのはマズすぎる。加えてそんな存在があるのだとすれば誰かが血筋のものを探して、勝手に王国を再興しかねない。
世界の存亡に関わるような大惨事を二度と起こさない為に、魔法世界はウェスペルタティア王国を永久に封印してしまいたいのではないでしょうか。